Honda製ハイホイールという題材から

300ccユニットの素性を探る

 

Long Interview

高性能ハイホイールSH300i

 

購入の経緯編

Buono編集部:写真・文
photo & text by Buono editing unit

 

スタイリッシュで走りも良く、欧州でのヒットモデルへと成長したSH300i。この人気絶頂のハイホイール車には100ps/L といったハイパワーユニットが搭載され、その走りも気になるところ。そこで数少ない国内でのオーナーさんにお願いし、購入の経緯から維持に関することまで 包み隠さずお聞きしたロングインタビューが実現。Buonoによるインプレッションまで含め、SHシリーズのフラッグシップを徹底紹介!

 

 

欧州ではデビュー以来、スタイリッシュなエクステリアデザインと安定性&走破性の高さによりグングンと人気を集め、いまや爆発的ヒットモデルとして不動の地位を確立していると言っても過言ではないSH300i。
Hondaが欧州向けに展開するハイホイールカテゴリー・SHシリーズのフラッグシップであり、オフロード・コンペティションモデル(競技専用車)であるCRF250用エンジンの派生ユニットを搭載するハイパフォーマンスコミューターである。
1Lあたり100馬力という一昔前のスクーターでは到底考えられないような凄まじいハイスペックを誇るだけに、Hondaの本気度も伺えるというものだろう。
しかもSH300iに搭載されるパワーユニットを250ccへと設計変更したものが日本国内向けフォルツァやフェイズに搭載されたことからも、エンジン自体がもつ素性の良さを容易に想像できるはずだ。
じつは縁あって、2008年モデルのSH300i -Scoopy-を所有する鉄火丼ブレードさんをこれまでに2度取材させていただいている。
年月の経過によりSH300iはモデルチェンジを受けているが、基本的なキャラクターには変化がないはずなので、ここは1度しっかりとBuonoでも記事化しておきたいとお願いして今回の掲載が実現した。
折しも昨秋のEICMA2012(いわゆるミラノショー)ではNSS300 FORZAが発表され注目されたが、広報画像を見る限り、マフラーまわりの印象からしてもSH300iとの共用もしくはベースとされている可能性が高い。
フォルツァ300が日本国内向けにデビューするかはなんとも言えないが、フォルツァ300について想像を巡らすならば、数少ない情報源の一つとしてSH300i -Scoopy-を知ることは無駄になることはないだろう。
なおフォルツァ300の主要スペックは以下の通り……ただしあくまで参考として。

◎エンジン:水冷4ストロークOHC4バルブ単気筒
◎総排気量:279cm3(cc)
◎内径×行程:72.0mm×68.5mm
◎圧縮比:10.5
◎最高出力:17.9kW[24.3PS]/8,250rpm
◎最大トルク:25.7Nm[2.6kgf-m]/6,000rpm

■そういったワケで、まずは鉄火丼ブレードさん(以下、丼)が何故このSH300i -Scoopy-というモデルに行き着いたのかを伺ってみることにしよう

GIVI製スクリーンは走行中のバタつきも抑えられ、整流&暴風効果も高い。SH対応品は3種類設定され、装着されているのはもっとも丈の短いタイプ
GIVI製スクリーンは走行中のバタつきも抑えられ、整流&暴風効果も高い。SH対応品は3種類設定され、装着されているのはもっとも丈の短いタイプ

丼◎いきなりSHにしたということではないんです。
これまでいろいろなスクーターに乗ってきたなかで、一つ前に乗っていたパンテオンあたりからお話します。
個人的になんですが、普通のモーターサイクルの形状もいいんですけど、やっぱり近くを移動するとなるとスクーターが一番便利。
それにイージーライディングできるので、必ず何台か持っているうちの1台をスクーターにしているんですよ。
それに昔バイク便をやっていたときもスペイシー125(JF-04)でやっていたし、乗り始めも50ccのスクーターからだったので、もともとスクーターが好きだったというのはあると思います。
そのなかでちょっと変わったものが欲しいとか、新しいものが好きなところもあるので、スペイシーから乗り換えるときにどうしようかなと思ったんですよ。
そのとき最初にホンダイタリアのディラン……これは@というスクーターのガワだけ小さくしてデフォルメしたシルバーウイングみたいなスクーター……というのがあって、そういった
125〜200ccくらいのクラスで「なんとかならんなかなぁ」という考えだったんです。

ドイツ製ADVANCED HIDに変更され、夜間走行時の安心感をグンと高めている。万が一のバーナー切れも単体入手が可能なので比較的リーズナブル
ドイツ製ADVANCED HIDに変更され、夜間走行時の安心感をグンと高めている。万が一のバーナー切れも単体入手が可能なので比較的リーズナブル

■では最初にディランに乗り、つぎにパンテオンへと乗り換えたワケですね?

丼◎いえ、ちょっと違うんですよ。
じつはショップと交渉はしたんですけど、当時はディランで色よい返事がもらえなかったんです。
だ けどちょうどそのとき同じシリーズでパンテオンというモデルんがあって、外観はフォーサイトそっくりなんですが、その年にパンテオンが

フロントフェイスにはメッキパーツを採用し、ウインカーやポジションライトも組み込まれたデザインにより高級感ある雰囲気にまとめられている
フロントフェイスにはメッキパーツを採用し、ウインカーやポジションライトも組み込まれたデザインにより高級感ある雰囲気にまとめられている

フルモデルチェンジ をするという話で「それ(パンテオン)ならどうだ? おもしろそうだからちょっと取ってみたいし、試しに乗ってみろ」みたいな感じで……つまり人柱ですよ ね。
ただ写真を見たらけっこうシャープなデザインで尖っていたし、まるっきり元のパンテオンとは似ても似つかない形になっていて、それが2003年のことです。
まあ4サイクルにもなっていたし、ものも入るし、まだだれも乗っていないしということ

フロントフェイス・モチーフのキーヘッドデザインを採用するメインキー。オーナーとしては嬉しさ一入だろう。ちなみに欧州モデルに多いイタリア・ZADI社製
フロントフェイス・モチーフのキーヘッドデザインを採用するメインキー。オーナーとしては嬉しさ一入だろう。ちなみに欧州モデルに多いイタリア・ZADI社製

もあったので、じゃあ青いタイプを1台取ってくれとなったんです。
ところがオーダーはしたものの、1ヶ月で納車するはずがなかなか来なくてけっきょく乗り出したのが半年後。
調べてみたら発送元のイタリアのほうでチョンボしたらしく、じつは発送してなかったというオチでした。
それで慌てて対応するはめになったことから、船便だったものが急遽航空便に切り替えられてボクのだけが成田に到着したんです。

■けっきょく半年待って念願のパンテオンと対面したということですか?

細身の6本スポークというデザインで、スタイリッシュなイメージのキャストホイールを採用。製造はブレーキメーカーとして名高いグリメカによるもの
細身の6本スポークというデザインで、スタイリッシュなイメージのキャストホイールを採用。製造はブレーキメーカーとして名高いグリメカによるもの

丼◎そうなんです。
そしてそれが日本に入った最初の1台目だったようです。
それから乗り出していって、しばらく……5年半くらいは乗ったんですけど、今は手放して別の人が乗っています。
話 が前後しますけど、その後スペインのMontesa Honda S.A.(現在、Montesa Honda S.A.は閉鎖され、そこで生産されたモデルは、Honda Italia Industriale S.p.A.に移管)で出していたXL125V-VARADERO-というのに乗りました。

16インチホイールを履き、ディスクブレーキはニッシン製を採用。256mm径サイズのローターに組み合わされるキャリパーは3ピストンタイプとなる
16インチホイールを履き、ディスクブレーキはニッシン製を採用。256mm径サイズのローターに組み合わされるキャリパーは3ピストンタイプとなる

125だというのに水冷Vツインという、ワケのわからないエンジンを積んでいるモデルなんです。
しばらくはその2台(パンテオンとバラデロ)に乗っていたんですけど、125で4stで装備重量が200kgを超えていて15馬力しかないというバラデロはあんまり走らないんですよ。
ホントに。
なんか2stレーサーの感じで乗っていかないと前に進まない。

タイヤはピレリが標準設定となるが、現在はブリヂストン・HOOPを前後に履かせている。OEM設定されていて、国内でも入手可能だったことでチョイス
タイヤはピレリが標準設定となるが、現在はブリヂストン・HOOPを前後に履かせている。OEM設定されていて、国内でも入手可能だったことでチョイス

もう1台のパンテオンのほうがもう少しラクに乗れるんですが、こちらは回転の頭打ちが早いので気持ち良さに欠けるんですよね。
その後今度はホーネット600を買ったんですが、全部で3台だとローテーションして乗っていくにもタイミングが掴みづらい。
そこで2台に減らそうかなと思ったとき、バラデロとパンテオンを足した状態でなにかほかのモデルがないかなと思ったんです。

■では、ここでいよいよSHとなるワケですね?

メーターパネルは左から水温計、速度計、燃料計がならび、時計、オド/トリップなどを表示する液晶を手前側に配置。オイル交換時期もアナウンスされる
メーターパネルは左から水温計、速度計、燃料計がならび、時計、オド/トリップなどを表示する液晶を手前側に配置。オイル交換時期もアナウンスされる

丼◎ははは。
ちょうど2004年ころだったと思うんですが、友だちのアプリリア・レオナルドが壊れてしまい、彼はアプリリアが好きだったということもあってスカラベオ250を買ったんですよ。
それに乗せてもらったところ自分的には今一つ馴染めなかったんですが、乗りやすく操作もしやすい印象で良さそうだいう感触を持ったんです。
だからパンテオンとバラデロをまとめた感じの車両があれ

パッシング&ハイロー切り替え、ウインカー、ホーンスイッチが縦にならぶ。上部の後付けスイッチはグリップヒーター(ホンダ純正・360度全周巻きタイプ)
パッシング&ハイロー切り替え、ウインカー、ホーンスイッチが縦にならぶ。上部の後付けスイッチはグリップヒーター(ホンダ純正・360度全周巻きタイプ)

ばいいのになと思ったとき、「そういえばハイホイールというのもなかなか良かったぞ」と思いだしたのですが、欲しいと思えるハイホイールモデルはちょっと見当たらなかった。
ところがタイミングよくSHに300ccモデルが登場するという情報が舞い込んだんですよ。
そ うすると両方(パンテオンとバラデロ)の排気量を足したらちょうど300くらいだし、バラデロのほうはオフロードに近い形状なので走破

エンジンのキルスイッチ&セルスターターボタンを配置するほか、後付けの白いBOX形状のインジケーター(=ETC)も設置された右グリップまわり
エンジンのキルスイッチ&セルスターターボタンを配置するほか、後付けの白いBOX形状のインジケーター(=ETC)も設置された右グリップまわり

性が高く、パンテオ ンはある程度ものが入ってスクーターのイージーライドができてそれなりに燃費もいい……そんなことを考えてみてSHで300なら両車の特徴も備えているだ ろうことから本当にまとめた感じになりそうだなと考えたんですよ。
それから基本的にホンダ車以外は買ったことがないので、「だったらSHもいいのかな。まだだれも乗っていないし、取り寄せてないし」……ということで購入を決意しました。
ただし今回は頼むから色だけは選ばせてくれという条件を出しましたけどね。

■それはどういう意味ですか?

丼◎それまで実車を見て買えたワケじゃなかったんですよ。
ホンダの海外モデルを乗り継いできたなかで青が3台続いていたのも、好きで買っていたワケではなくて青しか残っていなかったんです。
それで「じゃあ何色がいい?」となり、今回は真っ黒をオーダーしたんですよ。
す るとショップから輸入業者に発注をかけますが、そのとき「車両は入れてもいいけど今回は初めての車両だから登録にかなりの費用がかかりますけど大丈夫です か?」というのと、「パーツの手配まではできないけど、それも大丈夫ですか?」と言われたらしく、これまでの乗車歴を伝えて「ああそれなら大丈夫ですね」 といったやり取りからオーダーが受け付けられ、2008年の12月18日に乗り出すことができたんです。
当時、乗り換えるときにお店までパンテオンを乗っていって、ちょっと夜で暗かったんですけど最後に写真を撮ったりしました。
かなり尖った雰囲気のパンテオンもこれで見納めかなと……。

■感慨深いパンテオンとの別れのシーンに水を差すようですが、登録にかなりの費用がかかるというところが気になります。

丼◎それは排ガス検査料とかのことなんですが、たとえば排ガス検査料が満額で16万円ほどかかるようです。
それが年末登録の自分の車両にそっくり計上されていたので、いわゆるガス検と呼ばれるものを、その年は誰も……SH300が1台も受けていないということになるんですよ。
複数代が輸入されているなら検査代も圧縮され3万円程度くらいになるんですけど、ほかになかったから満額というワケで、つまり2008年モデルの一番最初で一番最後なんだということですよね。

■乗り出すための準備などはどうしたんでしょう?

丼◎まあ諸元でしかサイズとかがわからないですし、じっさい目で見られない、触ることもできない。
だ けどさすがに4台目になってくるとその辺りも慣れてきて、乗り出しのときに合わせてスクリーンを付けてしまったり……というか現車が届くまでの段階である 程度必要となるアフターパーツみたいなものをすべて取り寄せておいて、合わせてみて、付くんだったらポン付け、付かないんだったら加工して付けるといった 準備をしておきました。
だから購入後のカスタム代となるとゼロですね。
すべて最初に済ませてしまっているので。
あとETCを移植したりとか、その間に必要なものやパーツなどを割り出していって、どの辺までが流用できるのか、互換性があるのかまで見ていって、まあこれだったら大丈夫そうだという判断はできてました。